過料決定についての経緯とご報告
2022/11/16
過料決定についての経緯とご報告
最高裁判所より、東京都特措法45条命令違反についての過料の件、11月9日付け特別抗告棄却決定の書面が届きました。
これまでの経緯をお知らせいたします。
2021年の第2回緊急事態宣言の前日、当社はHP上に「緊急事態宣言の発令に関して、グローバルダイニング代表・長谷川の考え方」を掲載し、通常通りの営業を継続することを表明いたしました。
3月18日に東京都知事名で出された特措法第45条命令には従いましたが、その命令の発出の方法に疑問を抱き、緊急事態宣言解除翌日である3月22日に東京都を相手に、命令は違憲・違法であるとの訴訟を開始いたしました。
なお、この裁判につきましては、今回の過料の手続きとは全く別の審判でございます。
その後第3回緊急事態宣言が発令。
東京都より、5月17日と5月26日に、当社計26店舗に対して特措法第45条命令が出ました。
第2回緊急事態宣言の際は「命令は法律である」との判断から命令に従いましたが、その後の裁判を通し、命令の違憲・違法性を認識した当社は、命令に従わないことを選択。通常営業を継続いたしました。
その後、10月12日に東京地方裁判所から過料の件(東京26店舗)について「求意見書」が、12月16日には26店舗の過料「決定」の通知書が東京地方裁判所から届きました。
通知書の内容としては、第3回緊急事態宣言の際に出た「26件の特措法第45条命令違反」に対する過料(780万円)というものです。
5月時点で東京都の担当者に確認した際には「命令は(命令書が2通なので)2件と認識している」という回答を得ていたところを鑑みますと、命令の考え方の変更は、裁判所による判断ではないかと思われます。
本年1月4日に即時抗告申立書を提出しましたが、6月10日付けで東京高等裁判所より棄却決定の書面が到着しております。
過料決定、抗告棄却の理由については、いずれも東京都の意見を追認するもので、当社としても納得がいかない内容であったため、さらなる抗告の手を打ちました。
その際、抗告期限の計算方法に誤解があり、期限切れにより、一部抗告が行えないなどのミスも起してしまっております。
その後あらためて方法を検討し、再抗告、許可抗告、特別抗告(いずれも不服を申し立てる手段です)を行いました。
これら一連の作業は、当社弁護団もかなり苦戦しながら進めてきました。
その理由は、この過料及びこれに対する不服申し立てに関する手続きが、通常の訴訟とは全く違うシステムとなっているからです。
私たちは、日本国憲法第32条で「裁判を受ける権利」を有しています。これは、「公開」の法廷で「対審」すなわち当事者双方が裁判官の面前で主張立証を行う権利を内容としています。
東京都との違憲・違法裁判も「裁判を受ける権利」の元、「民事訴訟法」に沿って裁判を起こしました。
しかし、過料に関する手続きについては、「民事訴訟法」ではなく、「非訟事件手続法」により、公開の審理を受けることができず、意見を伝えることはできても、反論に対する再反論等の場が与えられておりません。つまり上記の意味での裁判を受けることができない手続きなのです(これについては元最高裁判事を務められている行政法学者からも手続自体が裁判を受ける権利を侵害するものとして違憲なのではないかとの指摘すら存在します)。
申立ての際には「本件は実質的には違法を争う訴訟である」として、公開の審理(裁判)を求めましたが、その点についても斥けられ、公開の審理が行われることはありませんでした。
また本来であれば、「東京都対グローバルダイニング」という構図で行われるべき手続きが、訴訟では中立的第三たる裁判所がまるで当事者のように介入し、処理をするため、結果的には「裁判所対グローバルダイニング」と感じてしまうような構図になりました。
当然、裁判所自らが決定した内容について自ら処理をするのであれば、決定を覆すことは想定しがたく、本件は最高裁まで行きましたが、「憲法問題ではない」という門前払いのような形で、抗告棄却が決定されました。
上記からご理解いただけるとおり、過料制度は、過料が課される段階まできてしまえば、もはや命令の違法・違憲性を争う手段がないという、「裁判を受ける権利」の観点からは重大な問題を抱えたシステムを採用しているのです。
過料について、当社に出来る手続きはこれ以上ないため、不本意ながら過料の支払いをすることになります。
皆様には本件のご報告をさせていただくとともに、公開の審理を行うことなく、行政の意見通りに、企業に対し多大なる過料を決定するという、この理不尽な日本の裁判所の現状を皆様にご理解いただけましたら幸いでございます。
2022年11月16日